Sample book03
2/4

吾は猫である。前はまだい。どこで⽣れたかとんと⾒当がつかぬ。何でもいじめじめしたでニャーニャーいていた事だけはしている。吾はここでめて間というものを⾒た。しかもあとでくとそれは書⽣という間中で⼀な種であったそうだ。この書⽣というのは時々我々を捕えて煮てうというである。しかしその当時は何というもなかったから別しいとも思わなかった。ただ彼の掌にせられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワしたじがあったばかりである。掌の上でし落ちついて書⽣のを⾒たのがいわゆる間というものの⾒であろう。この時なものだと思ったじがでもっている。⼀⽑をもってされべきはずのがつるつるしてまるで薬だ。のみならずの中が…あのイーハトーヴォのすきとおった⾵、夏でもに冷たさをもつ⻘いそら、うつくしいでられたモリーオ、のぎらぎらひかる草の波。またそのなかでいっしょになったたくさんのひとたち、ファゼーロとロザーロ、のミーロや、のいこどもたち、地主のテーモ、猫⼠のボーガント・デストゥパーゴなど、いまこのいきな⽯の物のなかでえていると、みんなむかし⾵のなつかしい⻘いのように思われます。では、わたくしはいつかの⼩さなみだしをつけながら、しずかにあの年のイーハトーヴォの⽉から⼗⽉までを書きつけましょう。あのイーハトーヴォのすきとおった⾵、夏でもに冷たさをもつ⻘いそら、ファゼーロとロザーロ、…A4 横向きサンプル

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る