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変わらない風景はおばさま方とともに[ざぼんラーメン]は鹿児島県民なら誰もが知っている、誰もが一度は行ったことがあるラーメン店ではないだろうか。昨年末に行われたテレビ番組の鹿児島ラーメンランキングで堂々の首位に選ばれたのも、そのことを裏付けている。 ラーメンはほどよいあっさり味が特徴の豚骨スープ。モヤシやネギ、チャーシュー、キャベツなど7品目の具材が入っている。[ふくまん]同様、底にタレが入っているので、食べる時にはよくかき混ぜて食べる。 豚の頭をきれいに洗って丁寧に血抜きをし、朝からじっくりと釜で煮込んだスープは与次郎にある本店で作られており、唯一店内で作っているスカイロード溝辺店をのぞいて、ざぼんラーメンを提供している全店舗に配送されているそうだ。 そしてざぼんといえば、店内できびきびと働くホールスタッフのおばさま方を思い浮かべる人も多いはず。調理人以外は、ほとんどがおばさまと言ってもいい。「もちろん若い人間もいますよ(笑)。けれどそういう風に感じられるのは、長く働いている方が多いからではないでしょうか。平均年齢は50代かもしれないですね。それにうちはパートではなく、正社員が多いんですよ。人件費はかかりますが、ベテランが多いということはそれだけ安心できるということでもあります」 現在「ざぼんの里」「ざぼんの茶屋」で店長を務める大原克己さんは、経営元の株式会社西鹿児島駅構内食堂に勤続40年以上の大ベテラン。与次郎店に異動してきたのは平成6年だが、それ以前からざぼんラーメンとともに歩んできたと言っても過言ではない。 ざぼんラーメンが誕生したのは昭和50年。会社名のとおり、もともとは駅構内の食堂から事業を始め、与次郎でラーメン店の経営にも乗り出した。このざぼんラーメンが大当たりし、次第にラーメン事業が占める割合が増えていき、今では与次郎本店や同じ敷地内にある[麺処ざぼん]、鹿児島中央駅店など全部で7店舗を構えている。常連客が圧倒的に多いのも特徴だが、九州新幹線の全線開業により観光客の来店もぐっと増えたのだとか。「お客さまの7割近くはラーメンを頼みます。日曜日は多い時で、1000杯近く出る時もありますよ」 店名の「ざぼん」は大型の柑橘類である「ボンタン(ブンタン)」の標準和名。鹿児島を代表する特産品でもある。当然、店名はここからの由来だろうと思いきや、「ちょっと違うんですよ」と大原さんは笑って教えてくれた。「創業者の下原シケが女学校に通っていたころ、宿題帳に付けていた名前が『ざぼんの里』だったそうです。それがとてもお気に入りで、店名にも使ったのだと聞いています」 厨房では調理人が麺をゆで、あらかじめタレが入っている丼に麺と具材を流れるような手さばきで盛りつけていく。最後にスープを注ぐのはホールスタッフの仕事だ。 昼飯時の慌ただしい店内を、昨年デザインが一新されたユニフォームを着用したおばさま方が休むことなくかけぬける。ざぼんラーメンが誕生して以来、変わらない風景。これがあってこその、ざぼんラーメンだ。「おいしいものを作ってきちんと接客すれば、必ずお客さまは来てくださるというのが私たちのポリシー。創業以来、変わらない思いです。私ですか? もちろん大好きですよ!」09

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