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いつでも食べたくなる普段着のラーメン 天文館の金生町に店舗を構える[ふくまん]。開店は11時だが、12時前には店先に長い行列ができることでも知られている。現在は二代目店主の田中秀明さんのほか、先代の実雄さんと絹江さん夫婦、娘の理子さんに加えて3人のスタッフで切り盛りしている。 鹿児島銀行本店の営業部に勤める永吉良輔さんは、週に2回は[ふくまん]で昼食をとっている。「もちろん会社から近いのもありますし、頼んでから出てくるのが早いのもいい。同僚や上司も大勢行きますよ。週に4日行っている人もいるくらいですからね。どうしてそんなに行くのか?う〜ん、はっきりした理由は分からないけど、なぜかクセになるんですよね」 メニューはラーメンと大盛り、ライスのみ。豚骨と鶏ガラを煮込んだスープに、2日間寝かせた中太ストレートの自家製麺を使っている。具はチャーシューにモヤシ、焦がしネギ。オーソドックスな鹿児島ラーメンだ。大盛りには、うずらの卵がのるサービスがうれしい。定番の漬け物である大根やきゅうりは、78歳の絹江さんが今でも丁寧にぬか床で作っている。ラーメンが来る前に、ぺろりとたいらげる人が多いのにも納得。「常連さんによく言われるんですよ、『メニューをもっと増やさないのか』って。でもうちはこれだけでいいと思っているので、多分これからもメニューは増えないでしょうね(笑)」 約9年前に現店舗に移転するまで、山形屋近くの東千石町で長く営業していた。「でも実は開店したのは、天文館から少し遠い上之園町だったんですよ。昭和42年におふくろがラーメン屋を買い取ってね。店名はその時の屋号をそのままいただいたものなんですよ。東千石町に移転したのは昭和51年だったかな」 ここまで長く続けてこられた理由は「感謝の心を持ち続けてきたから」だと、秀明さんは考えている。「親父はそんなにお客さまと話すような性格ではないのですが、あいさつだけはしっかりしろと徹底して教えこまれまして。そんな店の雰囲気も長年親しまれてきた理由なのかなと思います」 創業からの味はほとんど変えていない。もちろん時代に合わせて、少しずつ改良は加えている。でもベースの味は変えない。それがこれまでの味を守るということであり、客の求めているものだという強い信念がそこにはある。 冒頭に登場していただいた永吉さんいわく、丼の底にタレが沈殿しているので、食べる時には底からかき混ぜるのが正解。「まんべんなくかき混ぜているかでリピーターかどうか分かる」のだとか。「当行にも食堂はありますが、ふくまんさんはもう一つの食堂のようなものですね。あ〜、話していたら食べたくなってきました。昨日行ったばかりなのに(笑)」 こうした地元の常連客によって[ふくまん]は支えられている。もちろん初めての方でも優しく迎えてくれるのでご安心を。「うちは普通にラーメンを食べる店。これからも普段着の店でいたいですね。それでいいと思っていますし、それがいいと思っています」主に麺をゆでるのが秀明さんで、絹江さんが具を盛り付ける。「親子でケンカしながら仲良くやってます(笑)」06
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